働き方改革ってなんだ?

働き方改革

「働き方改革」という言葉はどこから出てきたんだろう。
かれこれ何年かこの言葉を聞いているような気がする。
調べると2018年6月に法案として可決されて、2019年4月が施行だった。
そもそも・・なんのためにこんなことを始めたかというと、人口減少で働く人が少なくなるから、それを救済するのが目的だったらしい。救済するにはどうすればいいのか・・・と考えた結果がこれである。
「働き手を増やし、出生率を上昇させ、労働生産性を向上させる」
つまり、子供を産んで人口を増やしなさいということらしい。考えようによってはダイレクトな政策だけれど、植林と同じくらい時間を要する政策だともいえる。
絶対数が決まっていて、一人当たりの労働時間を制限した状況で「働き手を増やす」には、つまり「働いていない人は働きなさい」だ。きわめて画一的だと思う。
とはいえ、、昨日まで家にいた人に今日から外で働きなさいといっても土台無理な話。
この路線でいけば、もう一つできることがある。「働いている人は生産性をあげなさい」である。 つまり、「残業でこなして成果を定時間内に出しなさい」だ。ある意味妥当だとは思うけれど、一律にできるものでもない。
結局、あまりにもユースケースが多すぎて、すべてを一通りのルールでくくるのはかなりハードルが高い、ということではないかと思われる。
「働き方改革」で、本当に労働人口は増えて、出生率は上がるんだろうか。

ドイツの働き方

よく引き合いに出される製造業が主力のドイツの働き方。日本と比べると年間で350時間くらい労働時間が短いらしい。便宜的に1日7時間働く計算だと50日くらい。実働1ヶ月20日だとすると2.5ヶ月も短い。けれど生産性は日本の1.5倍らしい。
ただし、日本では当たり前のお店のお土日営業は限られているし、サービスもよくはないらしい。
逆に言うと、土日に営業して、おもてなしを最優先に考えると年間で2.5ヶ月分余計に働かないといけないということか。

便利さか?

平日に働いている人は、土日にまとめて家事をしたり家族サービスをしたり。とにかく「先送りした作業を」休みにこなそうとする。買い物も片付けもおしなべて平日はできる範囲で土日にまとめてやる主婦も多いと思う。いまでこそ洗濯は毎日多いときには朝晩にするけれど、若いころ一人暮らしをしていた時には土曜日にまとめて一週間分の洗濯をしていた。汚い話である。
いずれにしても、土日に買い物に行こうとするとスーパーは開いてなくては困るし、遊びに行こうとすると観光地のお店や飲食店が営業していないと大変なことになるだろう。
仮に・・・日本のお店が一律土日祝日に休んだとして。どうなるか。
・買い物や片付けは平日に休みを取れば行ける。
・観光は、長い休暇を利用すれば行ける。
・営業する側からすると、同業者との競争を完全に抑止できれば(平日だけで勝負になれば)安心して休める。
なるほど、こう考えるとドイツでどうして土日にお店が閉店できるのか、休暇が長いのか、労働時間が短いのかがわかるような気がする。

豊かさか?

「豊かさ」というのはなんだろう?と考える。人によって尺度が違うから一概には言えないけれど、最初に思いつくのはやっぱりお金だと思う。夢だけでは生活はできない。
次に考えつくのは保障。いろいろあるけれど、健康保険であったり、行政サービスであったり、生活するうえで必要なサービスが受けられること。
3つ目は何だろう・・と考えて、はたと行き詰る。さて、なんだろう。
自分で自分の「豊かさ」がわからんとは。この辺りはもう少し考えないといけないところだと自省。

定年延長

さて、それで働き方改革。
なんとなく働き方改革=テレワークのようなイメージが定着しつつあるような気がするけれど、もともとの主旨からするとそうじゃない。テレワークはあくまでも手段であって目的ではない。テレワークをしても生産性が維持もしくは向上できなかければ働き方改革にはならない。
もう一つの顕著な傾向が定年延長。昔は55歳が定年、今は60歳、たぶんそのうち65歳になるだろう。そのぶん年金支給開始年齢が高くなるのだから、これはもう「年金使いこんでます、払えません」と言われているようなものじゃないかと時々思う。
2020年になって会社のルールが変更されて役職定年(56歳)が撤廃された。それまでは56歳から60歳まではスタンドプレーヤーとして会社に残るか、セカンドキャリアで別の仕事を探すか、はたまた辞めるか、だったのが、いきなり現役続投である。正直管理職も面倒になっていたので、これは少々がっかりした。
労働人口を増やさずして、労働期間を延長するとは。。別の見方をすれば確かに本来なら第一線でなくなる人をそのまま残すわけだから、労働人口としては増える試算になるのかもしれないけれど。抜本的とは言えない。

そして、働き方改革

働く人を増やしたい。つまり子供を増やすことと、年寄りが働くこと。
なにやら戦時中の趣のような気もする中、ふと思いついた。
たぶん、今のままの働き方改革では成果はでない・・・。
テレワーク・・悪くない。悪くないけれど、できた余裕は自分の生活のために使われるのだろう。
年寄りのシゴト・・悪くない。悪くないけれど、なにを?
これまで長らく続いてきた「風習」を突然の政策で切り替えるのはかなりハードルが高い・・・たぶん。人は「やらないといけない」あるいは「やりたい」と思うことでなければやらない。
働き方改革は、会社がテレワークをすることでは取り組みとは言えない。会社はテレワークで個人の自由時間を増やして、あとはご自由に、というスタンスだと思う。もっと広範囲、たとえば、世帯とか自治体とか県とか、縦横のつながりを俯瞰的に見て取り組まなければ実現しないのではないかと思えてならない。

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